≪5月の青春再訪≫

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≪5月の青春再訪≫の画像3【アフターコロナの浦島太郎】
未だ亜種の発生などによる感染増加は懸念されますが、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ5類に移行され、アフターコロナでの新しい世界の生活が始まっています。
新しい世界と言うとオーバーかもしれませんが、コロナが収まったと思ったら昨年からの急激な円安ドル高の進行による物価や光熱費の高騰、海外からの入国に対しての水際対策が終了した事により外国人増は顕著になりました。
出張や勉強会などで東京に出かけると、電車や飲食店やホテルでは日本人より海外の観光客が多くいる場面に何度も出くわし、新しい建物やお店が急激に増え変化した街並みと合わせて「ここは知っている場所のはずだけどどこだろう?」と言う浦島太郎のような感覚に戸惑います。
それにしても、東京では店舗側で働いている人は別ですが、マスクをしている姿をほとんど見かけず、口元が見えるせいでしょうか、元気さ明るさを感じました。

【挑戦するチャンス】
高崎駅エリア(徒歩10分圏内)で経営しているコインパーキングも満車表示になる事が多く、こういった事からも、人の動きが増えてきたのだなと実感します。
但し、高崎駅エリアの良い立地のテナントに空きがあるというコロナ前までは信じられない状況が続いています。
不動産仲介の現場からは、問い合わせ自体があっても、家賃などの条件で尻込みしてしまい、まだまだ借りる側の立場ではもっと景気が悪くなるのではと言う懐疑的、警戒心を抱いている様子が感じられます。そんな中でも、こんな時だからこそチャンスだ、と勇気を出して出店したいという方がいるのも実感です。
最初から補助金頼りで始める出店計画はお粗末ですが、行政、貸主、借主が協力し合い、今こそ挑戦する勇気を後押しする高崎市になって欲しいし、私たちはそのお手伝いをする不動産会社として役割を果たしていきたいです。

【晩酌のように】
村上春樹の新作長編「街とその不確かな壁」読了。詳しい内容は差し控えますが、往年のファンも満足いく内容だと思います。
6年ぶりの新作長編で、1980年発表の中編と、1985年の長編をもとに書かれたことでも話題になっている本作。
 発売日に届いた小箱のような分厚い本を手に取りパラパラとページをめくると、指に伝わる紙の感触が最初から馴染みます。村上春樹の作品を世に送り出すにあたっての編集・制作側の情熱やこだわりに想いを馳せながら読み進めます。
膨大なページ数に果たして最後まで中弛(だる)みせずに読めるのかと感じた不安は、村上ワールドとも呼ばれる独特の文体と世界観、そこから生まれるリズムをつかむと、後はもう毎晩寝る前に少しづつ読み進める、晩酌のようにしばらく楽しい時間が過ごす事が出来ました。

【憧れへの恩返し】
私の人生において大きな影響を受けた作家の一人である村上春樹。こんなカッコいい世界観やそれを彩る文章があるのかと当時、坊主頭の中学生は衝撃を受けたのを今でも覚えています。
憧れのような気持ちを抱きつつ運良く同じ大学に入学できる夢がかなった時は正に夢心地。
文学の世界の奥深さを学びたくて入学したわりにお勉強の方はボチボチでしたが、大変充実した4年間の青春を送る事が出来ました。
「村上春樹ライブラリー」と銘打った国際文学館が大学に出来ると知った時は興奮しました。寄付を募っているという事で、青春への恩返しとして協力する事に。完成した際には是非訪問を、と思ってコロナの影響もあり先日やっと新設した文学館を訪問出来ました。
ジャズの流れる館内はトンネル状のアーチをモチーフに、本棚には所狭しと並べられた書籍や資料の山。執筆する書斎を再現した部屋とオーディオセットを眺めながら、喫茶コーナーで、コーヒーとドーナツを食べて村上ワールドに浸っていると、書斎の先に寄付者銘板のスペースをみつけ、そこに自分の名前を見つけた時は、携われたと実感し、嬉しくなりました。
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【浦島太郎、母校へ】
その後、「文キャン」と呼ばれる戸山キャンパスを散策。大学を出て20年強経ち、驚くほど様変わりして洗練されたキャンパス内に驚き、上述の浦島太郎状態。学んだ校舎が立て替えられた姿に寂しい気持ちにもなりました。それでも、学生棟の奥の庭園は残っていて、当時部活動の前によくベンチで弁当を食べた思い出が蘇ります。
『今でもあの時を覚えていて、いくらでも自分だけが感じたあの感覚や世界は存在している、今だってやる気さえあれば、あの頃と変わらぬまま、あの頃以上に自分のやりたいことができるじゃないか』という強い気持ちが湧いてきました。
自分が過ごした青春の場所に時々立ち寄ってみるのも良いかも知れません。

6月1日 広田 金次郎